感染症医療人材養成事業

感染症医療人材育成事業の概要

今般の新型コロナウイルス感染症の対応を踏まえ、医学部生等に対して、感染症の診断や感染症の特色を踏まえた対処法等より専門的な教育・実習を行い、感染症に関する高度な知識を身につけた医療人材の養成が必要となっています。

現状・課題

今般の新型コロナウイルス等、感染症対応において、院内感染を防止しながら持続的に高度医療を提供することが求められることから、感染症部門に留まらず、医療に従事するあらゆる職種において、感染症及び感染症医療に関する知識・スキルを向上させる必要があるという教訓が得られた。

医学部生等に対しては現在、感染症に関する一般的な概要等の教育は行われているが、今後は感染症の診断や 感染症の特色を踏まえた対処法等、より専門的な教育・実習を教育カリキュラムに取り入れ、感染症に関する高度な知識を身につけた医療人材の養成が必要である。

感染症の診断や感染症の特色を踏まえた対処法等に関する教育プログラムを新たに導入し、その一環として、 新たな教育の課程で必要となる医療用シミュレータや音声・映像録画機器等の実習用周辺機器を整備し、感染症に関するより高度な知識を養う。

支援の考え方

令和3年度から感染症を意識した教育カリキュラムを実施できるよう、今年度中に教育・実習体制を整備する大学に対し必要となる機材や実習に係る人件費などを支援

【引用】文部科学省 感染症医療人材養成事業(令和2年度第3次補正)
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/iryou/1415340_00001.htm

佐賀大学の養成事業の概要

小田康友(医学部地域医療科学教育研究センター教授)

佐賀大学感染症医療人材養成事業の実施責任者をしております小田康友(医学部地域医療科学教育研究センター教授)です。

本学医学部は、「文部科学省 感染症医療人材養成事業(令和2年度第3次補正)」に採択されました。

感染症医療に対する医療情報の質と量は、常に更新・高度化されており、実際の医療現場に反映させることに多くの非感染症専門医療従事者が難渋されておられると思います。とくに、昨今の新型コロナウイルス感染症をはじめとする新興感染症への対応においては、毎日のように更新される疫学や診療に関する莫大な情報を吟味・整理しながら、日々の対応に困窮を極めている医療現場は少なくないのではないでしょうか。

本事業では、佐賀県内の医学部生、医師、看護師等、医療従事者を対象にして新型コロナウイルス感染症をはじめとする感染症診療に役立つ情報の発信や教育環境整備等の養成プログラムを構築してまいります。シミュレーターを活用した診療技術のトレーニングや講演会を企画したり、佐賀県内の医療機関が感染症医療の情報共有ができるネットワークを構築することに寄与したいと考えています。

小田康友(医学部地域医療科学教育研究センター教授)

本事業の活動の一環として、eラーニング講座も開設いたしました。まだコンテンツは多くはありませんが、感染症の基礎的知識の復習から専門家による最新情報、また佐賀県の感染対策に関する諸活動まで、さまざまな職種の方々のニーズにこたえられる講座を目指してまいります。佐賀県内の医療・福祉施設に勤務されている医療従事者の方でしたら無料でご利用いただけますのでぜひご活用ください。

本事業の取り組みが、佐賀県内で医療・福祉に従事している皆様の感染症医療の学修と実践に少しでもお役立てできれば幸いです。

2021年12月

本事業の目的と事業内容

目的

佐賀県の感染症危機管理の向上のために、パンデミックに対応できる医療従事者を感染症専門医以外にも広く育成するとともに、医療行政従事者にも実務的感染対策を実施することにより、医療現場との連携を強化する。また専門家の招聘講演を開催し、最新の情報や未知の状況への対応を共有しうる体制を創る。

医学科では感染症に関連した実務的判断・対応能力のための講義とシミュレーション、臨床実習を強化する。看護学科では、臨床および在宅で療養する感染症患者の全身状態をアセスメントする能力の育成とともに重症者の療養を支援するための方法についてシミュレーションを通して強化する。

指定医療機関及びそれ以外の医療従事者、行政従事者にも上記機会や臨床疫学的演習を提供し、地域連携の強化や行政検査の向上を図る。

具体的な事業内容

  1. 臨床実習前医学生に、感染症の講義・演習、現場での臨床判断や対応のシミュレーションを実施する。
  2. 臨床実習では感染症診療に参加し、集中治療を要する重症感染症対応のシミュレーションを実施する。
  3. 臨床実習(選択科目)でCOVID19診療を含めた感染症診療の訓練を実施する。
  4. 成人看護学実習前学生に、感染症患者の急性期の臨床判断能力を育むシミュレーション教育を構築する。
  5. 重症な感染症患者における臨床判断能力の育成と療養支援のためのシミュレーション教育を構築する。
  6. 訪問看護事業所における感染症患者の臨床判断能力を育むシミュレーション教育を構築する。
  7. 大学附属病院のCOVID19診療に従事する医療者の感染対策の実務能力を向上を図るプログラムを実施する。
  8. 県内COVID19指定医療機関の医療従事者に1,2,3の一部を公開、7の講習を実施する。
  9. 行政検査の実利性・連携を高める保健福祉事務所行政職員に対し、臨床疫学に関する講義・演習を実施する。
  10. 指定医療機関以外の医療従事者にも8の一部の受講機会を提供する。